欧羅巴戦争に依つて

欧羅巴戦争に依つて、世界人民が互に国境を持つて居る事の為に、非常なる苦しみを経験したので、従つて国境を見ずして、世界の人類が相寄つて、世界を統一しやうと云ふ理想を持つ者が沢山出来たのであります。其一部の実現は、ベルサイユ条約に規定されて、各国努力して居る国際聯盟であります。即ち道義に基いて、各国の問題を片附けやうと云ふのが、其主義でありますが、さう云ふ事が耳に入ると同時に、世界には千里の沃野が横たはつて居つて、日本の勤勉なる農民を迎へて居る様に見える。是に依つてこれ等の問題も、何とか解決される様な気がするのです。併し乍ら実際に就て見ると、それは非常に予想に反する。今日大戦争を経ても、未だ欧羅巴では戦争前より多くの常備軍を持つて居る有様である。リーグ・オブ・ネーション・ユニオンの総会があつて、私も日本の代表者として五六日間行つて居りましたが、世界の有力家が名論卓説を吐く中にも、インターナショナリズムの美名の下に、自分の国の立場から、総てに勝手な議論をして居る事が容易に認められましたが、国と国との間の交渉は、邪推、猜疑心を以て満されて居る事は常であつて、其の会合の間にもそれが現れて来まして、将来はいざ知らず、今日に於て日本の此差迫つた問題を解決するのには決して頼りにならぬと云ふ感じがするのです。