どうだや、それでもいくらか
「どうだや、それでもいくらか来るあてがあるのかい」と一人が訊くと、
「それが、どうも――明日にならなけりゃ分らないと県の方では言っているんで……」
「明日、明日って、随分その手食ったな。まるで何かのようだぜ、組合も。」
「いや、君らはそんな冗談言っていっけんど、みろ、これで、県の方だって、組合の方だって、ここんとこ不眠不休で心配しているんだから。はア、組合長ら、昨日から寝こんじまった位だから――県庁へ行く、農林省へ行く、肥料会社まで行って見る。全くお百度踏んで、それでも何ともならねえんだ。農林省の方では、とにかく早場地方が第一だというわけで、出来るそばからそっちの方へ廻送しているらしいんだし、そこに百叺でも五十叺でもいいから、こっちへ取ろうという始末なんだから、これで、並大抵のことでは……」
「でも、山十(町の肥料屋)なんどへ行けば、一時の間に合せ位のものは、倉庫の中に昼寝しているっち話だねえか。どうだや、そいつを何とか、こうお上の力で、こっちへ廻してよこすような方法をとれねえもんかな」と中年の鬚もじゃ親父が言って、眼玉をぎょろつかせた。