今私が云つた通り
『今私が云つた通り、きのこはどんな人にでも好かれるから、あなただけが味をよく知つてゐるとは云はれません。私はきのこが役に立たないものだとは思はない。きのこは我がフランスの財源の一つです。たゞ私はその毒のあるものを注意するやうにお話したいのです。』
『良いのと悪いのとの見分け方を教へやうとなさるのでせう。』とマシウが尋ねました。
『いゝえ、それは吾々の出来ない事です。』
『何故出来ませんか。いろんな木の下に生えてゐるきのこを、誰だつて安心して食べてゐるではありませんか。』
『その点に就いてお話しする前に、私は皆さんにお尋ねしたい事があります。あなた方は私の云ふ事を信用なさるのですか。こんな物事の研究に一生を捧げてゐる人の云ふ事は、それに関係してゐない人々のほんの聞きかぢりの言葉よりも為めになるものだと思はないのですか。』
『ポオルさん、どうぞ話して下さい。皆なあなたの御研究を十分信じてゐるのですから。』と一同に代つてシモンが答へました。