祈祷の壇は

 祈祷の壇は神々しいものであった。

 壇の上には新しい荒莚を敷きつめて、四隅には笹竹をたて、その笹竹の梢には清らかな注連縄を張りまわしてあった。又その四隅には白木の三宝を据えて、三宝の上にはもろもろの玉串が供えられてあった。壇にのぼる者は五人で、白、黒、青、黄、赤の五色に象った浄衣を着けていた。千枝太郎泰清は青の浄衣を着けて、おなじ色の麻の幣をささげて、南にむかって坐っていた。ほかの三人は黒と赤と黄の浄衣を身にまとって、おのおのその服と同じ色の幣をとって、北と東と西とに向かって坐った。
 安倍播磨守泰親は白の浄衣に白の幣をささげて、壇のまん中に坐っていた。彼は北に向かっていた。この頃の強い日に乾き切って、河原の石も土もみな真っ白に光っている中に、彼の姿は又一段すぐれて白く見られた。
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