辻ヶ谷君はそういって
辻ヶ谷君はそういって僕の尻をついた。僕は不安になったが、ここで尻込みしていたのではしょうがないから、
思い切って腰を曲げると、はね橋のようにはねあがったゆかをくぐって、地下への階段をふんだ。
もうのっぴきならない運命が僕をとらえてしまったのだ。不安も恐怖も今はなくなってしまって、あとは辻ヶ谷君のさしつける懐中電灯の光をたよりに、どんどん地下へ下った。階段がつきると、ぼんやりと明りのついた廊下が左右へ走っていたが、辻ヶ谷君はその左の方へ進んでいった。その廊下は、その先でもう一度右に折れると、その奥で行きどまりとなっていた。辻ヶ谷君は、その奥まで行って、手さぐりで壁の上を探しまわっていたが、そのうちに澄んだベルの音が聞こえだしたと思ったら、壁がぱくりと口を開いた。
行きどまりの壁が、すうっと下って、下にはまりこみ、目もさめるほどの明るい部屋が目の前にあらわれた。形のふしぎな器械がずらりと並んでいる。
「早くこっちへ入りたまえ」
辻ヶ谷君にいわれて、僕は下へ落ちた壁――それは隠し扉であったのだ――をまたいで中へ入った。ぷうんといい匂いがした。ばたんという音がしたので、後をふりかえってみると、隠し扉が元のようにあがって、壁になっていた。