ふしぎだなあ
「ふしぎだなあ、しゃくにさわる……」
と、山岸中尉は、じれったそうに舌うちをした。
「まったくふしぎだ。あの雲は楕円体だぞ。正確に木型で作ったように、廻転楕円体だ」
帆村の声は、いよいよ、うわずっている。
山岸中尉の目もそれを確めた。念のためにノクトビジョンでのぞいてみたが、まったくそのとおりだ。
「正楕円体の雲なんてあるかなあ」
と、帆村は首をひねったが、そのとき彼は電気にふれたように、座席からとびあがって、山岸中尉の肩をつかんだ。
「山岸中尉。わかったですぞ。あの楕円体こそ、いわゆる『魔の空間』です。一号艇はたった今、『魔の空間』にとじこめられたのです」
叫びながら、楕円体を指す帆村の目は、赤く血走っていた。
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