そういうときに
そういうときには、はじめのうちは、伯爵団長がぶつぶついっていたが、あとの方になると、彼はそういうときが救いの時きたるとばかりに足を止め、腰をたたき、汗をぬぐい、身体に吸いついている蚊をたたき殺すのであった。
ついに沼が見えた。
この前のとおり、岸をぐるっと右へまわっていった。
するとこんどは、ツルガ博士と娘とマルタンが、後におくれだした。いや、おくれだしたどころではない、ツルガ博士は沼を見ると大興奮のていで、岸のところにしゃがみこんでしまったのだ。博士は、その服装にはふにあいのりっぱなプリズム双眼鏡を取出して、沼の面を念入りに、いくどもいくどもくりかえし眺めるのだった。
「ツルガ博士。くわしく観察するのは後にして、まずみなさんといっしょに、行きつくところまで行ってみようじゃありませんか」
「しいッ、しずかに……」