けれども煙が止まったと同時に降り出した雪には何かしら善兆らしい感じが受取られた。晦冥の天地にはじめて純白の色を見出すのも人々には嬉しかった。

たくさん村の人が表を往来し出した。午後の二時頃になって、その人々のあれよあれよと言う声が頻りに聞えた。静な雪に誘われて坐った儘、淡い眠りに覆われていた慧鶴は、それ等の声に目覚めて反射的に例の火口の方を眺めた。雪はすっかり晴れていた。青い色の空の背景に浮出されてそこに宝珠のような形の新山が出来ていた。富士の頂から海へ引いた急角度な傾斜の線はそこで見慣れない弾みを打って畸形な瘤をつけていた。びっくりしたあとの慧鶴の胸には二つの感情が頻りにもつれ合った。Windows8 タブレット 暗礁に乗り上げる